オンライン即興ディベート講座-2022の報告
2022年4月22日(木)21:00~オンラインにて英さんと空さんと3人で即興ディベートをオンラインにて行いました。初回から4名の方が参加してくださり、オンラインにてディベート講師としてデビューすることができました。本当にありがとうございます。
無料イベントだったの気軽に行ったのですが、何気に本格的なディベートになりました。
さて、この記事では、そんな『ディベート』がどんなものかについて解説をしていきます。
ディベートとは?
簡単にいうと、討論や議論をゲームにしたものです。
テレビ番組やYoutubeで「ディベート」と検索をすると、よく口ケンカや言い負かしあいのようなシーンが流れて、たくさんしゃべって相手をボロクソ言い負かす感じの印象をお持ちの方が多いかと思います。
実際にその通りです!
だから、そうならないようにルールや勝敗の基準をキチンと設けて、そのうえで両選手がフェアな状態で臨みます。
このように純粋に説得力を競うためのディベートを「競技ディベート」と呼んでいます。
この記事では、そんなディベートとは何か?競技ディベートの特徴について説明をしていきます。
競技ディベートの4要件
- テーマ(論題/お題)
- 立場(肯定側/否定側)
- タイムテーブル
- 勝敗の基準
この4つがキチンと整っていれば、ディベートはゲームとして成立します。ひとつひとつ見ていきましょう。
1.テーマ(論題/お題)
ディベートには必ず意見対立を前提にしたテーマがあります。実際に、どんなテーマでディベートをしているかについてお見せします。
ビジネス系
- アパレル会社Fは、高価格帯商品を販売するべきである
- コンビニ業界は24時間営業を廃止するべきである
働き方編
- 厚生労働省は、リモートワークを推進するべきである
- 日本政府は、男性社員の育児休暇を義務化するべきである
- 日本政府は、正規雇用者の副業を推進するべきである
政策・法案系
- 日本政府は死刑制度廃止するべきである
- 日本政府は安楽死を認めるべきである
- 日本政府は、教科書をタブレットにするべきである
- 日本政府は、プログラミングの授業を増やすべきである
- 日本政府は、ベーシックインカムを推進するべきである
- 日本政府は、パワハラを抑制するための法案を作るべき
医療・介護系
- 日本政府は、代理出産を実施するための法設備を作るべきである
- 日本政府は、診療報酬の自由化を推進するべきである
アニメ・創作系
- ネルフは、ガンダムを開発するべきである
- ドラえもんは21世紀に帰るべきである
本テーマは、私がこれまでに行ってきたテーマです。事前に絶対に賛成か反対で決着がつくテーマを作るのがポイントです。
先日行ったテーマは、日本政府は正規雇用者のリストラを前提とした労働法を作るべきである、でした。英さんから「リストラの是非についてディベートしたい」というリクエストがあったので、上記のテーマにしました。
「リストラは必要か?悪か?」というテーマにすると、「リストラは必要悪である」となるため、ディベートの試合が難しくなります。また、「日本企業はリストラをするべきである!」というテーマにした場合、
- 何をもって日本企業か?
- 業種や職種によって違うよね?
となります。
だから、今回は「日本政府」という労働法を制定できる権限をもつ公的機関を主役にして、日本政府にとって企業が正規雇用者をリストラしやすくできる社会を作る事は望ましいのか、否かでディベートの試合をすることにしました。
話を戻すとディベートのテーマはかなり大事です。
2.立場(肯定側/否定側)
ディベートは必ず肯定側のグループと否定側のグループに分かれて議論をします。意外と知られていませんが、試合直前までに肯定側になるか、否定側になるかはわかりません。その場でジャンケンやコイントスをして決めます。
場合によっては、個人的には、そのテーマに賛成でも、反対側になったらそのテーマを反対しなければいけません。
例えば、日本政府は正規雇用者のリストラを前提とした労働法を作るべきであるについて、個人的には賛成ですが、今回は否定側でした。よって、リストラ政策反対!の立場をとり、肯定側のリストラ賛成に対して反論を唱えまくりました。
自分の考えに反する意見を述べるってキツクないですか?と質問する方もいますが、全然そんなことありません。あえて逆の立場になるから、自分の考えの「盲点」「弱点」「客観性や説得力の弱さ」を見つけることができます。これがいちばん活かせるのは、何か大きな決断をするときです。
例えば、新しい事業を始める場合、その事業を始めるメリットとデメリットは必ずあります。楽観主義者はメリットばかりに目が行きます。悲観主義者はデメリットばかりに目が行きます。このディベート思考が身に付くと、物事の両方の側面が見えて、感情や不安に流されず物事を合理的にとらえることができるようになります。
3.タイムテーブル
タイムテーブルとは、各選手のスピーチ時間、順番、役割をまとめたものです。原則、ディベートの試合は、事前に決められたタイムテーブルに沿って進められます。タイムテーブルがあるから、たくさん話せば話すほど有利になる事はないです。逆に、時間内に必要なことを言わないと試合は劣勢になります。
タイムテーブルはディベート団体によってだいぶ異なりますが、先日は下図のタイムテーブルを使いました。
立論-質疑-反駁の形式
各スピーチ時間は2分。スピーチの時間ごとに1分の準備時間。試合時間はバッファを含め23~28分です。
原則、スピーチ中は黙って聞く。横やりやヤジはもちろん、味方側からのサポートも禁止です。
立論:議論のたたき台を出すスピーチ。なぜテーマが採用されるべきか(べきでないか)のプレゼンを行う プレゼンの型 事実:テーマ実行前と後の違いを明確にする、価値:なぜそれが重要なのかを示す
質疑:立論直後に行われる相手サイドからの質問。主に立論の内容を確認するためのもの 原則、このパートでは議論をしない。質問側は、反論をしない。あくまで確認、確認、確認… 応答側は立論の内容に素直に答える。私が本当に言いたかったこと!的な説明はしない ジャッジ・観客は、このパートに関しては聞いていなかった事にする。判定に反映させるのはNG
反駁:反論に対しての反論という意味。お互いの立論の内容をもとに議論の攻防戦を行う。
立論と質疑はニーズマッチのテーブル商談に似ています。立論スピーチで、商品をPRして、質疑でそのPR内容に対して質問です。反駁からは、その商品を購入するべきか、否かについて議論をするイメージです。
メリットvsデメリット方式を採用
今回の「日本政府は正規雇用者のリストラを前提とした労働法を作るべきである」については、お互いが立論でメリット(デメリット)を出して、反駁で戦わせていました。
肯定側立論:リストラをするメリット
- 不要な人材をクビにできて人件費が浮く
- 法人税を沢山もらえる、国際競争力が高まる
否定側立論:デメリット
- 組織内で採用や人材育成をするインセンティブが弱まる
- 若者が育たない産業構造になる
今回のディベートの争点
- 事実:人件費が浮くと法人税UPはあるけれど、失業手当や就業支援でお金が出ていく
- 価値:政府にとっての優先事項は?社会の閉塞感 vs 行政のお仕事と支出が増える
他にも色々と論点は出せますが、時間制限があるため、いちばん勝ちやすい議論を出して、反駁では的確に相手の議論の急所を突いていきます。また、自分たちの議論を守っていきます。
試合を通して試合の流れを見極めて計画的かつ柔軟に相手の主張に対応していきながら、自分たちの勝ち筋を見つけて試合をコントロールしていく術が求められます。
4.勝敗の基準
ディベートの試合の勝敗は第三者が決めます。逆に、選手同士で決めることは、まずないです。なぜなら「私のほうが論理的に話せてスピーチも上手だったから私の勝ちね」と言われて「はい、そうですね。私の負けですね」とは基本ならないからです。
選手はジャッジ・観客に向かってスピーチをする
だから、選手たちは対戦相手ではなく、第三者に向かって自分たちの議論のほうが相手の議論より説得力があることを言葉のみで伝えます。これは裁判やビジネスコンペと同じ考えです。よって、選手は、誰に向けて自分たちはスピーチをしているか?を考えながら、スピーチのシナリオやロジックを組む必要があります。
試合の判定をする方法
ジャッジの役割は、お互いの議論を最後まできいて肯定側と否定側のどちらかに投票することです。そして、必ず説明責任が伴います。
ジャッジのお仕事
- 双方の議論を聞いて、どのように理解・解釈したかを示す
- 争点になった部分をひとつひとつ整理して伝える
- 個人の主義主張やテーマに対する主観は外に置く
ジャッジは選手以上にニュートラルになり判定に臨む必要があります。正直、どちらに判定をしてもよいのですが、その判定に行った経緯をすべて説明して、選手・その場にいる人たちを納得させる必要があります。
ジャッジは決裁者に近いポジションであると同時に、決裁した内容を上の人に報告する中間管理職に近いのかもしれません。
ディベートの説明については以上になります。
ディベートのまとめ
- 意見対立を前提にしたテーマがある。日本政府などの特定の機関を主人公にして行う
- 肯定側・否定側は選べない。どちらの立場でも議論ができる状態を作る。
- タイムテーブルに則り行う。制限時間や順番、役割は決まっている
- 第三者であるジャッジ・観客を説得するカタチでスピーチを行う
引き続き、べしゃり塾ではディベートのイベントを行っていきます。興味・関心、ビジネスプレゼンやテーブル商談で活用できそうだな!と思ったら、是非ともご参加ください。いまのところ無料イベントとして行っております。
今後の活動や展望
今後の展望については定まっていませんが、ペライチページでお伝えしているように、これからのビジネスシーンで役に立つディベートを提供していきたいと考えて、3人で運営しております。
個人的には企業・個人問わず事業のオンライン化が当たり前となった中で、オンラインのコミュニケーションで活用できる即興型のコミュニケーション術や商談やコンサルテーションを深めていくツールとしてブラシュアップしていきたいですね。
この記事を読んで、ディベートに興味を持っていただけたらこちらから。